■選奨土木遺産 阿武隈川支川荒川の歴史的治水・砂防事業について
 研究は、平成
19年度に選奨土木遺産に認定された阿武隈川支川荒川の歴史的な治水・砂防事業の沿革と特徴を分析したものである。近世以降の荒川の治水・砂防は、近世における霞堤と水防林による各村単位の地先での治水に始まり、近代以降は、河道掘削と地蔵原堰堤の築造による流路固定(大正期)、国の直轄事業による築堤(大正末期〜昭和初期)、国の直轄事業による砂防堰堤の築造(昭和初期〜)などに時代区分できることがわかった。また、荒川の直轄砂防化には近代砂防の父といわれた赤木正雄が関与し、荒川の砂防計画は赤木の後輩である杉本倍吉が行ったことがわかった。

■阿武隈川支川荒川の歴史的砂防施設について

 本研究は、阿武隈川支川荒川の歴史的な治水・砂防施設のうち、登録有形文化財となった本川施設9基について、そのデザイン上の特徴について分析したものである。その結果、水通し形状へのカーブの導入、洪水時により天端石が抜けないよう配慮したものと思われる水通し角縁石における斜め石張りの導入、優美な印象を持つ袖部勾配の導入、下流法面における布石積工法の採用(昭和28年以前)など、荒川の治水・砂防施設が有するデザイン上の特徴を明らかにすることができた。

■阿武隈川支川荒川に分布する歴史的霞堤について

 本研究は、阿武隈川支川荒川の沿川に広がる水防林内に分布する歴史的な霞堤の特徴を分析したものである。荒川の霞堤は、沿川の水防林とともに近世以降につくられた記録があり、現在でも水防林内に左岸に31基、右岸に37基が確認された。これらは、表面の状態から石積み、土、石が点在するものの3つのタイプに分けることができた。また、平面的な分布形態では、面的に折れ曲がりが無くほぼ一直線に堤防が連続する「平面直線タイプ」と、部分的に折れ曲がりのある「平面折れ曲がりタイプ」の2タイプがあることが確認された。これらのうち、保存状態の良いものは登録有形文化財に、また水防林とともに登録記念物としていくことが求められる。

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